人との豊かな関係(生活)を取り戻したMOさんの事例


MOさん 大正15年3月生

82歳 女性   介護度3  

既往 認知症

 

 初めてMOさんがSDを利用されたのは19年5月。初めてのご利用の日から約1年7ヶ月。週2回(8:30~18:30)のご利用です。

   ご利用当初、移動はご自分でそろそろと歩行されるも視力が低下されているため(ほとんど見えないとの申し送りでした)物にぶつかったり、手で探りながら移動されている状態でした。また、声かけには返答なく、自分が声かけをされている感覚はよく分からないようでした。表情も無表情で視線もあわず、自らの訴えもなく意思疎通を図ることはかなり困難でした。気ままに動き(環境の変化で探っていたのかも知れませんが)良く分からないものを確かめていたのか、壁から突起しているもの(画鋲)を抜こうとしては、一緒に倒れそうになったり、物にぶつかって転倒しそうなため、かなり危険な状態で、職員は常に見守りし、対応していました。

 

 ご利用当初、こんな様子だったMOさんも週2回SDを利用して、利用日の毎に1対1の十分な対応を心がけ、目をあわせ、1つ1つの行動毎に徹底して声をかけ、1回1回の丁寧な働きかけを続けてきました。また口腔や嚥下の体操では個別で口の周りのマッサージをしたり、目の前で職員の口を触ってもらったり、じっくりと関わりを持ちました。結果、人のそばが好きになり、目が合うようになり、発語が始まり、笑顔が出るようになり、最近は会話を楽しむことも出来るようになってきています。相手の心配をしてくださったり、他利用者に自分ら「あの人と話したい」といってソファーに座っている方のとなりに座り込んで話しかけたりする姿も見られるようになって来ました。表情(喜怒哀楽)や感情の表現もとても豊かになって声を出して笑うことが多くなり、自己主張も出来、現在は、そんなまわりの人たちとの豊かな関係の中での生活を楽しんでおられます。ご家族も会話ができ、人との関係の中での生活を楽しめていることをとても喜んでくださっています。

 

 一つ驚いていることは、かなりの弱視でほとんど見えないと言われていた目(視力)ですが意思疎通が取れるようになった現在、目の前での職員の動きを真似して他利用者の方と一緒に健康体操ができるようになってきたことです。少し離れている人や車なども結構見えていることも分かってきました。

 

  これからも、一回一回の丁寧な働きかけを大切に人との関係の中での豊かな生活をもっともっと楽しんで行って欲しいと思っています。

 

   スーパーデイようざん  田村