外出を拒否する利用者様に対して


利用者D様(女性、81歳、要介護2)は、一人暮らしであり、認知症の進行も著しく、日中お一人で過ごされるのは様々な面でリスクが高いということで、認知症対応型通所介護の「スーパーデイようざん栗崎」ご利用開始となりました。

 

 ところが、D様は認知症の進行に伴い、できることが少なくなり、家の中で一日何もせずに過ごすことが多く、外出することにも意欲が無く、他人からの働きかけを受け入れることの無い状態でした。

 

 このような状態なので、送迎お迎え時のお連れ出しも、普通の対応で上手く行く訳ありません。そこで、お迎え時に訪問介護事業所に入って頂き、内側からの促しと、お迎えにあがった“ようざん”スタッフの外側からの促しで“時間をかけてでもとにかくお連れ出しする”という目標のもと開始となりました。

 

 利用開始当時はなかなかうまくいかず、お連れ出しに時間がかかることが殆どでした。しかし、ケアさせて頂く中でひとつのキーワードに気付きました。それは、D様の職歴に関する言葉でした。少人数制の中から生まれる深いコミュニケーションだからこそ、良い携わりができ、ご本人の内面を揺さぶるご本人に対する有効的な言葉掛けにも気付くことができたのだと思います。

 

 それからは、そのキーワードによってお迎え時の時間が少しずつ短くなり、利用継続も可能となりました。

 

 「Dさん、○○○なのでお願いします」

 『○○○?私はそんな約束していませんよ』

 「そんなこと無いですよ、皆さん待ってらっしゃいますのでお願いします」

 『おかしいなぁ。こんな格好でいいかしら?』 そう言いながら、履物に足を入れるD様が、お迎え時のスタイルとなりました。

 

(スーパーデイようざん栗崎 大島)