MSさん 大正11年6月生 86歳男性
要介護2 H19年11月より利用開始され、1年2ヶ月が経過しました。現在、週4回のご利用となっています。
ご利用当初は記憶障害、見当識障害が特に強く、興奮状態にて1分に一度間隔で奇声をあげるなど、周辺症状も様々な方でした。意思疎通を図るのは困難で、コミュニケーション能力は低く、他者との交流も困難な状態でした。また、入浴もできておらず、衣類の汚染など、衛生的にも問題があり、キーパーソンである奥様も介護疲れがひどく、悩んでいる様子でした。
そんなMSさんにまず行ったのは、ゆっくりと話を聞き、何に対して興奮しているのかを理解することからでした。そして、その内容を受容する。これが、認知症ケアの基本でもあり、MSさんにとって一番行わなければならなかった個別ケアでもあります。個別ケアを徹底することで、MSさんの今まで見えなかった部分が見えてきました。その特徴を生かしつつ、レクリエーション参加への促すことで、他者との社会的交流を図ることにも成功しました。また、送迎のお迎えは早く、送りは遅くするなどといったご家族のニーズに対し、臨機応変に対応してきました。
それから日を追うごとに、大声で奇声をあげる回数はほとんどなくなり、表情もグンと穏やかになりました。また、他者との会話なども成り立つようになり、自らコミュニケーションをとることで、生活を楽しまれるといった行動変容も見られています。さらに入浴に関しては、強い拒否が以前よりも見られず、声掛けには素直に応じて下さり、自ら着脱を行うなど、利用の際は毎回入浴することができ、衛生保持ができるようになりました。
奥様の話によれば、以前までは自宅でも不穏が続き、精神的に疲れていたが、現在では、不穏はおろか、表情はいつも明るく、笑顔や落ち着きを取り戻し、夜間も徘徊することなく良眠されているので、体も心も本当に楽になったとのことでした。 認知症専門員による、独自の個別の認知症ケアの徹底をすることで、ご本人の本来の姿、尊厳を取り戻し、奥様との落ち着いた夫婦生活を確立することができました。これぞまさに、地域密着型サービスの真のあり方だと感じています。
今後も、その方に合わせた個別ケアの徹底の中で、奥様といつまでも在宅で幸せに暮らしてほしいと願っています。 スーパーデイようざん飯塚 石原